東風の旅人™
珈琲店
大きすぎる窓がとり込んだのは午前の陽光。 店員はとてもかしこまった格好をしている。 新聞を広げた、置物みたいな爺さんはおそらくずっとあそこに座っている。 パンの匂いがして、鈍器としか思えない灰皿で煙草を消した。 コーヒーの湯気にも日が差す。 気がつけば爺さんはいなくなっていた。 テーブルの上には小さく畳んだ新聞だけが残った。