東風の旅人™
砂埃の道
坂道の手前、あまり見通しが良くない。 車道の信号が青に変わっても、車はそんなに多くない。 北と南から、数人が道路を渡る。 飾りのステッキでたまに地面をさわるあの男の身なりは、どうも金持ちみたいだ。 このあたりの人は、あまり横断歩道のことを気にしないらしい。 太陽は真上から地面を突き刺す。 熱気が立ちあがって、砂埃が舞う。 ステッキの男の肌はよく焼けていて、南の国のようなピンク色のスーツを着ている。